ピコン。
鷹文からのメール。

『明日の土曜日は実家に帰る。親父と話して、鈴森商事への嫌がらせを必ず辞めさせるから』

『うん。無理しないでね』

『ああ。お前も早く寝ろ。週末は実家に泊ることになると思うから、会えるのは週明けだな』

『そうだね』

『月曜には俺の退社が発表になるはずだ。騒々しくなるから覚悟をしておいてくれ』

『はい』

そうか、もうすぐ鷹文はいなくなるのね。
やっと好きだと気づいたのに・・・クスン。

「バカ、泣くな」
おでこをコツンと小突かれた。

「だって・・・」
お兄ちゃんの前だというのに涙が止らなくて、その場にしゃがみ込んだ。

「なあ一華、素直になれって言っても意固地なお前には無理かもしれないが、本当に欲しいときにはわがままになれ。そうしないとお前が後悔するぞ」
「うん」
わかってる。

でも、これから先浅井に戻った鷹文を支えてあげられるのは私ではないと思う。
一緒にいても返って足を引っ張るだけ。
それに、鷹文のお父様がうちの会社にしたことは、やっぱり許せない。
事情を知った父さんが私と鷹文のことを許すとも思えない。
もう、先は見えているのよ。