夜。
私達は鷹文のマンションで一緒に過ごした。
ソファーに座り、ひどく疲れた顔の鷹文をそっと抱きしめる。

「部長、何か言ってたか?」
「何で辞めるのかって聞かれた。これからはあなたの分まで働いてくれって言われたわ」
「そうか」

部長も鷹文も辛いのは同じ。
背中に回した腕に、少しだけ力を入れた。

「ごめんな、一華」
「私は大丈夫」
この温もりを忘れないでおこう。私が愛した人だから。