「これからどうするの?」

ご両親からすれば、元気になった息子に戻ってきて欲しいと思うのは当然のことに思える。
ちょっと手法が乱暴だけれどね。

「できることなら、このままでいたかったんだが・・・無理だろうな」
寂しそうな顔。

どれだけ抵抗しても、鷹文はうちを辞めることになるだろう。
それだけ浅井の力は大きい。

「俺がもっとボンクラだったら、親父も変な欲を起こさなかったんだろうけれどな。俺って優秀だから」
クスッと笑った。

「勝手に自惚れてなさい」

確かに、鷹文は優秀な男よ。
私が愛した男なんだから。

「ごめんな、一華」

ギュッと抱きしめられて、唇を塞がれた。
鷹文の暖かさが流れ込んできて、頭がもうろうとする。

「オイ、息をしろ」

ああ、忘れてた。

「疲れているなら帰ってもいいぞ。お兄さんかタクシーを呼ぼうか?」
「イヤ、帰りたくない」

私は鷹文の首に手を回した。

「仕方ないなあ」

鷹文は私を横抱きにすると、寝室へと運んでいった。

「ねえ、シャワー浴びてないけれど」
「今は無理、シャワーも食事も後でいいだろう?」
「うん、そうね」
私に異論はありません。

こんな余裕のない鷹文を見たら、止められない。