「大体さあ、お前たるんでるんじゃないの?」
「何でですか?」
「その服。遊びに行くのかって格好だぞ」
「・・・」

そんなことはない。と思ったけれど、言わなかった。
言えば余計に部長の機嫌が悪くなるから。

今は何を言われても、ひたすら頭を下げるしかない。
山通の田中工場長まで話がいってしまった以上、部長に頭を下げてもらうしかないんだから。

クソッ。

その後もグチグチと嫌みを言い、最後には「だから女はダメなんだ」と言う部長。
本当に大嫌い。
さすがに慣れたから泣きたいとは思わないけれど、悔しい。

「もういい、田中工場長には電話を入れておく」
「はい、お願いします」
深々と頭を下げて、私は席に戻った。


「大丈夫ですか?」
可憐ちゃんが寄ってきた。

フロア全体に聞こえていた部長の大声に、みんなも気づいている。
今だって遠巻きに私を見る視線が痛い。

「平気、いつものことだから。それより、この服って変?」
「いいえ、素敵です。でも、普段の一華さんとは違うかな?」
やっぱり。

ん?
チラッと高田と目が合った。

すぐにそらされたけれど・・・すごく恥ずかしい。
これも自業自得ね。