「一華ちゃん大丈夫?」
勧められるまま、カクテルを4.5杯飲んですっかりできあがってしまった私。
白川さんに抱えられるように家へと帰りやっとのことでベットに入った。

父さんも兄さんも今日は帰ってこないらしい。
きっと遅くまで仕事をして、ホテルにでも泊る気なんだろう。
何しろ今は緊急事態なんだから。

ピコン。
鷹文からのメール。

『ちゃんと帰ったか?早く寝るんだぞ』
もー、子供扱いして。

『さっき帰ったの。白川さんと会ったわ』
鷹文は?と聞きたくて聞けなかった。

『そうか。俺ももうすぐ帰る。明日からまた忙しくなりそうだ』
『そうね』

やっぱり、悠里さんとのことは話してくれないのね。
一体どんな顔をして、何の話をしたんだろう。

『しばらく、マンションには行けないわね』
『そうだな。こんな時だからな』

うん、わかってる。
でも、寂しい。

聞きたいことは山ほどあるのに、怖くて聞けなかった。
聞いてしまったら、私達の関係が終わってしまう気がした。

『一華、心配するな。俺がきっとなんとかするから』

不思議だな。
鷹文に大丈夫って言われると、なんとななる気がする。
彼の言葉には力がある。

『お休み、鷹文』
『ああ、おやすみ』

肝心なことには触れないまま、私は一日を終わらせてしまった。