部長の忠告に従って俺は定時に退社した。
自宅に帰り、ソファーに倒れ込むと、鈴木と一緒に借りてきたDVDが目に入った。

そういえば全部見られなかったな。
どうしよう、このまま返すか?
もう来ないだろうしな。『お前が嫌いだ』何て言ってしまったんだから。

俺の知らないところで、鈴木がコソコソ動いていたのが一番頭にきたこと。
でも、それを潤から聞かされたことに腹が立った。
小熊をかばおうとするあいつの態度がまた怒りを増幅させて、まるで子供みたいな怒り方をしてしまった。

「髙田なんか、大っ嫌い」
と言われた瞬間、プチンと何かがキレた。
「じゃあ、お前は誰が好きなんだ」と叫びそうになった。
肩を振るわせながら、逃げるように駆けていくあいつの背中を抱きしめたくて、できなかった。

ああー、クソッ。

どうしたものかなあ。
問題山積だ。

こんな時、俺は問題点を紙に書いて頭を整理することにしている。
整理しているうちに優先順位が見えてくるから。
今回のこと、問題は怒らせてしまったあいつと、しびれを切らしている親父と、春からの転勤。それぞれがちょっとずつ絡み合っていて、事態を複雑にしている。
でもまあ、まずはあいつに謝るしかないか。