白川さんに続き、私は病棟へと向かった。

今日はこの病院のハロウィンパーティー。パーティーとは言っても、夕方からから行われる院内コンサートがメインで、後は子供達のためにちょっとした企画が用意してある。その1つが「トリック・オア・トリート」。思い思いに仮装した子供達が院内を歩き、お菓子をもらっていく。
私はそのお菓子を渡すボランティアを頼まれた。

「入院中の子供達が多いから、基本的には保護者やスタッフが付き添うんだけれど、どうしても手が足りなくなるんだよね。小児病棟の中だけでやればって声もあったんだけれど、せっかくなら院内全体を使った方が子供達も楽しいし、近隣の幼稚園児達も招待してあるし」
「へー、結構大きなイベントですね」
「うん。少しでも楽しみを作ってあげたいからね」

ふーん。こうしていると、白川さんっていいお医者さんなのね。
普段はわりと毒舌で、意地悪な印象があるのに。

「で、一華ちゃんは仮装しないの?」

病棟フロアまで上がり、案内されたスタッフルームには何着かの着ぐるみや、かわいらしい魔女の衣装が掛けられていた。

「ええー、いいですよ」
恥ずかしいし。

「でも、何もなしでは子供達も声が掛けにくいから」

ああ、そうか。
多少ハロウィンらしい格好をしないとダメよね。
そうだ。可憐ちゃんにもらった飾りを思い出した。