「いい加減にしろ。お前が鈴木と仲良く飯を食ってる間、高山さんは待っていたんだぞ。そのことを反省しろ」
「でも・・・」
「お前が行かないなら、俺が行こうか?」
気がつけば2人はにらみ合っている。

はあぁ、もう。

「髙田課長、落ち着いてください」

私は2人の仲裁に入るつもりだった。
髙田の言うことは社会人としてもっともだと思うし、小熊くんの態度も良くないと思う。
でも、わざわざ行けって言うのも、非効率的な気がするから。

「2人とももう少し冷静に、」
話し合いましょうと言いかけた私を、
「お前は黙っていろ」
髙田が遮った。

は?
びっくりして顔を上げると、

「大体、鈴木は急ぎの書類を抱えているんじゃないのか?それに、今日は早退届が出ていたはずだが?」
「そうですけれど」

今は昼休みだし。
その早退届だって、残業や休出が多すぎたための時間調整なのに。

「さっさと仕事をしろ。いつまでも小熊の後ろをくっついて歩いているな」

な、なぜ私が怒られるの?

「課長、チーフは関係ないじゃありませんか」
小熊くんも声を上げた。

「うるさい、お前はさっさと行け」

こんな髙田は見たことがない。
きっと誰も止められない。

「わかりました」
これ以上言っても無駄だと思ったのか、手早く荷物をまとめ小熊くんは出て行った。