月曜日。
朝から髙田は調子が悪そう。
目は充血しているし、肌もかさついていて、傍目にも疲れているように見える。

おかしいなあ、昨日の午後本屋で会ったときには普通だったのに。

「おはようございます。課長」
朝から元気よく小熊くんが寄って行った。

先週1週間は髙田の外回りにドクターストップがかかっていたから、今日から本格的に通常運転。勉強中の小熊くんとしては、今日のスケジュールを確認しておきたいんだろう。

「今日の外回りですが、」
「ああ、午前は打ち合わせと会議が入っているから、午後から回ろう」
「じゃあ新規の訪問は午後に回して、午前中に定期のを2社ほど回ってきます」
「そうしてくれ」
「昼前には戻りますので、昼を済ませて午後一の出発でいいですか?」
「ああ」

小熊くんは手早く準備をすると、「行ってきます」と駆け出していった。
うーん、小熊くんもちょっとずつ使えるようになってきたじゃない。

「ああ、鈴木」

高田と小熊くんのやりとりをボーッと見ていた私は、急に呼ばれて驚いた。

「はい」

高田のデスクまで行き、
「何でしょう、課長」
オフィスらしく声を掛けてみた。

「先週、鈴木に回ってもらった分の報告書だが、何件か詳細がわからなくて記載できないものがあった。悪いがお前の方で書いてくれるか?」

「ええーと、はい」

まあね、やっぱりその場にいた本人でなければ細かいニュアンスはわからないものね。

「それと、お前があげた見積もりのうちこれとこれはもう少し交渉できないか、検討してくれ」
「え、今までずっとこの価格でやって来てますが・・・」
何で、今さら?

「三和物産の件があるから、営業としても収益アップの策を練りたい」
「はあぁ」
そう言われれば、元凶の私としては何も言えないじゃない。