朝。

「う、うぅーん」
私はベットの上で伸びをした。

なんだかいつもより、シーツの糊が良く効いている。
私は糊なんか効かせずに、柔らかい手触りの方が好きなのに。
誰か間違えたな?
そういえば最近新しいお手伝いさんが入ったから、まだ慣れていないのかもしれない。
それに、いつもはきっちり閉めている遮光カーテンも開けられて、レース越しのお日様がまぶしい。

もー、誰が開けたのよ。
寝室は暗い方がいいのに。

でも・・・
私が寝ている間に寝室に入る人なんていないわよね。

ん、んっ。
頭が痛い。

こめかみに手を当てながら、ゆっくりと辺りを見回した。

見覚えのない、部屋。
どこだろう。

その時、

ん?
背中に伝わる温もり。

う、嘘。
誰かいる。

そっと、そおっと、頭だけで振り返る。

マジ?

そこに、男がいた。

落ち着け。
たまたま偶然、ここにいるだけかも・・・

そんなはずは、なかった。
私の体に残る昨夜の記憶。
間違いない・・・彼と、寝た。

同い年の同期であり、仲間であり、誰よりも信頼する戦友、高田鷹文(たかたたかふみ)と。
どんなことがあっても男女の仲になるはずがなかった男と、酔った勢いで。

どうしよう・・・

金縛りにでも遭ったように、私は固まった。