「待った?」

瑛ちゃんが窓を開けてくれた
私はベランダにでて
瑛ちゃんが来るのを待っていた

「ううん」

私は瑛ちゃんの部屋に入った

「スミレ、悩み事あるの?」

「え?」

やっぱり
瑛ちゃんはわかっていた

「ううん
何にもないよ」

笑顔でこたえるけれど
瑛ちゃんの顔は真剣に私を見ていた

「一人で解決できないことだろ?

どうしていいかわからなくて
でも誰にも言えなくて
苦しいって顔に書いてある」

「そんこと書いてない」

瑛ちゃんは口を緩めた

「何年、俺はスミレを
見てきていると思う?

そんな顔をしていると
俺はスミレを抱けないだろ?」

「瑛ちゃんはずるい」

私は瑛ちゃんのベッドに腰をかけた

クールな顔をして
何でもお見通しで

どんどん私の心に入ってくる

心のドアを閉めたつもりでも

瑛ちゃんは私のドアをノックして
開けてくる

ずるいよ

「私の部屋に来て」

私は瑛ちゃんの手を握ってベランダにでた