「瑛ちゃんに
紹介したい人がいるの」

レストランで食事をしていると
桜さんが口を開いた

「紹介したい人?」

「そう
私をオーナーに推薦してくれた人よ」

「いいよ
俺は遠慮しておく」

「どうして?」

「だって
俺とその人とは関係ないでしょ?

それに
桜さんと体の関係がある人とは面識を
持ちたくない」

「あら
知ってたの?」

「知ってるも何も
毎日のように迎えに来ているじゃないか」

「んふっ
見てたのね」

桜さんは
嬉しそうにほほ笑む

「嫉妬してたの?」

「別に」

「冷たいのね
瑛ちゃんっていつもそう

私と一緒にいるのに
考えているのは
私のことじゃないの」

「でも一緒にいるのは
桜さんです」

「そう
瑛ちゃんは
私を選んでくれた」

選びたくて
選んだんじゃない

「若いのに
すごく紳士で
格好いいのよ」

「桜さんのこと
理解してくれる人だと
いいね」

「誰も
私を理解してくれないわ」

桜さんの声が低くなった

理解してもらおうと
思うこと自体が

間違っていると
俺は思うよ

誰も他人の心なんて
わからないんだ

たとえ体を重ねたって
わからない