写真を
封筒にしまうと

すぐに廊下に出る
誰が走り去る人はいないだろうか

それともこっちの様子を窺っている
人物はいないだろうか

目を見開いて
見るものの

気になる人影もなかった

どうしよう
怖いよ

でも瑛ちゃんには頼れない

誰がこんなことを…

私は封筒を握りしめて
その場にうずくまった

「すみれちゃん?」

階段の上から
男の声がした

見上げると
心配そうに
私を見ている
杉田先輩がいた

「先輩?
どうして…」

「お昼を一緒に食べようと
思って教室に行ったら

すみれちゃんが出ていくのが見えたから
追いかけてきたんだけど…

何かあったの?」

「え?」

私は握りしめている封筒に目を落とした

これは絶対に
杉田先輩には言えない

瑛ちゃんと抱き合っていた
なんて
言ったら
どう思われるか…

「ううん
何でもないです

ちょっと貧血かな
生理中なんで」

「大丈夫、保健室いく?」

「あ…平気です
もう歩けますから」

私は立ち上がると
走って階段を駆け上がった

誰にも見られないように
手に持っている封筒を
鞄にしまいたかった

すぐに
隠して
忘れたかった