「だってさ
教師って立場だけで
偉そうじゃん

ちょっと冗談を言っただけで
むすっとした顔をしちゃってさ

生徒にいじめられてるって表情に
出すんだ

そんな先生に相談しようと思う?
信頼できると思う?」

「知らねえよ
俺が学生のころは……

やっぱ先生には相談しなかったな
相談しようとも思わなかったぞ

ちなみに
人間だとも思ってなかった」

「ひど!」

「先生にもプライベートがあって
人としての感情があって

生徒の態度や言葉に傷ついて
悩んで

勉強を教える以外にも
恋や遊びがあって…

毎日を生活している
なんて考えなかった

教師にも生活があるって理解したのは
やっぱ自分も「先生」って呼ばれる
ようになってからだ

先生ってのが
仕事で
金をもらって生活する一部でしかない
って気づいてなかった

だから
先生に何を言っても平気だし
許されるとも思った

俺はたくさんの
先生たちを傷つけてきた」

「へえ~」
順子が頷いた

瑛ちゃんってすごい
本当に先生らしいや

保健医じゃなくて
教師になれば良かったのに

「だから
お前らも経験すべきなんだよ

立場が変われば
考え方もかわる

今は先生を傷つけて
大人になって振り返って

そして自分らも
若者たちに傷つけられる」

「え?
傷つけらるのは嫌だ」

「人は他人を愛する生き物だ
それと同時に
傷つけ合う生き物でもある」