朝____太陽がカーテンの隙間から光を差し顔を照す。
同じリズムの音がする。いつまで経っても切れる気配はなくまるで出るのを確信しているかのように鳴る。

私はまだ寝ぼけたままだが、うっすらと目を明け布団から少しだけ手を伸ばしリズムの音、安眠妨害の原因 電話を遮る。
誰が掛けてきたかなど目に見えている。確認しなくても分かってしまうようになった。

人の睡眠時間を邪魔してくる奴は仁だ。仁しか居ない。
寝起きが悪いことを知っている人は余程のことがない限り朝一に私に電話などしてこない。まぁ、その代わりメールは読み切れないほどあるが 、。

それに比べて仁は一番付き合いが長いにも関わらず、何もなくともこうやって電話を掛けてくるのだ。一回でも出たら、そのあと質問攻めだ。実際あまりにもうるさくて出たときに、電話越しで2時間ほど説教を食らった覚えがあるから、もう出ないと心に決めてある。こういうときは無視して切るのが一番だ。

聞きたいことは倉庫に行ったときに聞いて欲しい。あまりにも行かないから電話をしてくるのだろうけど。
行きたくもない学校に行ってるだけでも許して欲しいが、それを言ったらまた説教されるだろうから我慢しとく。

仁ほど怒らせたらいけない人はいないと思うほど怖い。たまに立場が分からなくなるときがある。本当に腹黒い奴だと思う。
仁はひたすら職務質問紛いの事を眠たくなるほど聞いてくる。それも、悪魔の笑顔で。
あんなのに逆らったらどうなるか考えただけでも寒気がする。

それにしても、今日の寝起きの機嫌の悪さは最悪だ。よりによって電話に起こされ、徐々に働き出す脳が昨日の事をより一層思い浮かばせ、嫌なことしかない。
昨日は、貴重な睡眠時間を琥珀のやつらに潰されて、航を少しばかり絞めて、、。またあの夢を見てしまって....
いつになく疲れる一日だった。

怠けた体を動かしながらリビングへと向かい、時計に目を向けると、もう、九時を回っていた。あっ、ヤバいな。。

航から絶対文句言われると確信した私は更に憂鬱になり今日も仕方なく制服に袖を通して瞳を黒に、髪は黒くし、いつも通りの名井夏を作り上げた。

遅刻をすると航は何かと文句言ってくる。

ったく、不良だろ?と思うけど皆、航が怖くて遅刻だけは間逃れようと必死に来る。遅刻すると怖い説教が待ってるらしい。私は適当に聞き流しているだけだから何を言ってるのかはさっぱりなんだけど。。笑笑

これ以上遅くなるともっと面倒になると思ったから、急いで準備しいつも通り教科書の入っていない鞄を肩にかけて足早に学校へ向かった。

数十分かけて歩いて登校し、毎日恒例となりかけている4mの正門を飛び越え、今日も理事長室に行くはず。だった。

欠伸をしながらのこのこ理事長室に向かい歩いていると、扉の前には昨日の琥珀の面子と思われる人がいた。

誰かを待っているのか、航に用事があるのかは分からないが自分には関係のないと思いその横を通り過ぎ理事長室に入ろうとした。

するとソイツが入り口を塞いだ。面倒なやつだな。そう思って小さくため息をつき、視線の先を扉の取っ手から、ソイツに変えた

「なぁ?あんたって一体何で理事長室にいるの?」
はぁ?何コイツ。第一印象‥ウザイ奴
世間一般論で言うとイケメンの種類にあたるのだろうが、全くときめかない。逆に、嫌気がさした。ただ、それだけだった。 
何でとか言えるか!とか思いながら答えるのもめんどくさく黙り込んだ
「‥‥」
無視して理事長室に押し入ろうと決めたとき後ろからギュッと肩を引き寄せられ気づいたときにはバックハグされ、私の耳元で低く甘く囁いた。
「黙っててもいいけど、お前が話してくれるまで、毎日ここに通うよ?」
勝ち誇ったように笑って、まぁ、今日は用事もあるからこのくらいで許してやるよ。と自信げに言いながら廊下に姿を消した。

思考回路が一瞬止まりショート仕掛けた頭を懸命に動かし、理事長室に入った。

「航。なんなの?アイツ。」
「どーしたんだよ。そんな死にそうな顔して。あいつは麗を待ってたみたいだから、話してやりなよ。」
「え、待たなくていい。本当に迷惑。それに、死にそうな顔って。私はもうさっき死んだも同然だけど、、。」

突然の出来事に収集が追いつかず、何よりあんな事をされたことが私を驚かせた。
会って二日目であれをする?え?

「優になにかされたのか?」
面白そうに笑いながら聞く航を無性に絞めたくなった。
「うん。まじで死ぬ。(一般の女子とは違う意味で)やばい寒気がする」
困り果ててる私をみてケラケラ笑ってた航をやっぱり殴りたくなったのは秘密。

「ってか。あいつが優って名前なの?」
「あぁ、相良優(サガラユウ)。総長だよ。」
ちょくちょく耳にする名前はアイツだったようだ。あんな奴が総長なんて、。琥珀遂にヤバいのか、?
「なんか、変な妄想してるかも知んねーけど、アイツは強いし、面子かも信頼されてるよ。アイツはよく総長やってるよ」
何故か優と言う奴の情報をタラタラと吹き込まれながらなんとか状況を整理した。

「航、、今日の仕事はあとでするから今は寝させて。あと仁から電話掛かっても無視してね?出たら‥‥分かるよね?」
「‥‥はいはい。おやすみ。誰も仁の電話なんかに出ないよ。出たら困るのはこっちだからなー」
困ったように笑う航の返事を聞くとすぐにソファーに横になり眠りに落ちた。




そうして、私は二時間ほどの睡眠に入った。












だが、この選択が何かを間違えていたようだった。