正しい恋を教えてください。

たとえ相手がなんとも思っていなくても。




ハルはそれを知っている。




下駄箱で上履きに履き変えようとすると




「俺の事探してる?」




そう言って、憂が出てきた。




全身夕日に染まり、髪は茶色だったのに、赤く染まり、目は赤い光とハルの姿が映っていた。




そして、ゆっくりとハルに近づき、髪の先が触れ合うほどの近さに去った途端だった。




「仲いいんだね。羨ましいなー。俺もほしい」




「お前は、昔俺からとった女で満足したのか?」




「したんじゃない?あの紫水ハルから奪ったって考えたらゾクゾクしてさ...!」




目の横にシワひとつない笑い。




その顔には、表情がないばかりか、思いや感情も無い。




よく見れば見るほど気味が悪かった。




「1度憂とは、話をしなければならないってわかってた。いいよ。お前がそんな性格になっても、俺は憂は憂だと思ってるから」




「...っ!?」




ハルの顔は、実に何もかも吹っ切れたような美しい顔をしていた。体の内側から灯がともったような暖かな顔。