超化元年。ニホン国において大きな成果を得た年であるということを理由に、皇帝が退位し新しい年を迎える。科学の黄金期と呼ばれる時代を迎え、ニホン国は栄え活気を見せていた。島国では不可能とも言われた規模の資源を人工的に開発し、世界に名を轟かせたニホン国は繁栄の道を突き進んだ。

ここに国家経営に関わる五つの財閥が誕生し、これらもまた輝かしい歴史を残しつつあった。

それが五大財閥、「大友」「菱川」「高木」「雉尾」「二葉」である。

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「えー、しかしながらこれらの財閥は皆が知るとおり我が国最悪の犯罪の首謀者であります。五大財閥はその財力を利用し、我らの敵であるC-7を独占し研究を進め、拡散。それらの威力を見誤り衰退へのきっかけとなるのであります。良いですか諸君、永遠の命というものは不可能、存在しない存在!そういうことであります」

 日差しがさす気持ちが良い午後、教授の声が響き渡る。

「まーた始まったよ、教授の決め台詞」

隣に座る女子生徒の言葉に、透花(とうか)は苦笑した。

「まあ確かに、この歴史は重要だからでしょう」
「優しいねえ透花は。リコは小学校のときから歴史ばっかりで退屈よお」

肩までのウェーブがかった髪を弄りながら、リコは可愛らしい顔を退屈そうに揺らした。

C-7。この名を聞くだけでゾッとするのは、この時代に生きる全ての人類に共通しているとも言える。

「あのチョビヒゲ、研究室での煙草リコが嫌がったら減点したんだよ!?信じられない!」
「…それはちょっと横暴ね」
「でっしょー!?同じ研究部(EX)なのに、本当ヤダ!」

不意に、ふてくされていたリコがぎくりと身をこわばらせた。
透花が視線の先を見ると例の教授がこちらを見つめている。

「逢坂リコ!またもわしを愚弄するか!」
「うるさーいっ!ハゲタバコって言っただけでしょー!」
「それは立派な愚弄よ、リコ…」

ため息をつく透花をリコは涙目で振り返り、ドスンと音を立てて座った。