『プロポーズ』



「同じ墓に入りたいっていうのはプロポーズにもなるんだね」

本を片手にそんな変な知識を投げ掛けてくる彼女に呆れつつへぇ、と適当に相槌をうつ。急に変な事を言うんだよなぁ。またいつものかと作業のてを進めていればとん、と彼女が背中に寄りかかってくる。コーヒーを片手に彼女が転ばないようバランスを考えて支えてやればぼそりと彼女の口から言葉がこぼれる。

「君とだったらいいかもね、一緒の墓」

思わず口に含んでいたコーヒーを吹き出し手に持っていたカップを取り落とす。彼女は何とも思ってないような顔のまま空中でカップをキャッチする。いや、自分ナイスキャッチじゃなくて。今、何て言った?呆然とした顔の僕を見て彼女は意地悪そうににやりと笑う。

「好きなように受け取ってくれて構わないよ」





「……嘘つき。骨すら残してくれなかった癖に」