SIDE 颯馬



「うちの若頭が……どうかされましたか?」



コツコツと革靴を響かせ、主に喚き散らしている3人の女の前へ。



「え……」



当然女たちは目を白黒させ、俺を凝視する。


この後はお決まりのように───



「キャー!」

「颯馬さん!?」



女たちは顔を真っ赤にさせて叫ぶ。


そう、この街の女ってのはだいたいこういう反応をする。



「え、ヤバイカッコイイ!」

「ねえ、どうしよう。せっかくだし……聞いちゃう?」

「聞いちゃおうよ!」



俺は荒瀬組組長の次男坊で、若頭の側近頭。


兄貴ほどじゃないけど、千差万別な目を向けられて生きてきたし、注視の的になるのは慣れてる。



「あのぉ、志勇様の隣にいた女って、本命じゃありませんよね?
ただのセフレですよね?」

「はい、今日お連れしていた方のことですか?」



ところで俺はこんな喋り方だけど、中身まで堅物な人間じゃない。


この話し方だと相手も油断するんだよね。


特に馬鹿な女なんかは。



「あの女ってなんなんですかぁ?
まさかあれが『帝王の妃』じゃありませんよね。
あのレベルだったからわたしでも……」

「いいえ、噂は本当ですよ」

「え?」

「はっ、外見さえよければ、あなた方のレベルで若に取り行ってもらえるとでも?
笑止ですね。身の程をわきまえてください」

「……は?」



だからあの子もすぐに化けの皮が剥がれると思ったんだけど。



「次元が違います。容姿も内面も、彼女にはほど遠い」



どうやら違ったらしい。


兄貴が拾った彼女は。