だけどその後の沈黙が重たすぎて。


不安になって荒瀬さんの顔をのぞき込むと、その口から声が紡がれた。



「ならお前は、復讐したいのか?」

「え?」

「継母に、姉妹に、黒帝に、報復してやるんだ。
お前を傷つけたときよりも残酷な方法で」



不気味に笑う彼から、冗談の気配なんて感じられない。



「そいつらに復讐したいなら、俺が手を貸してやる」



復讐なんて思ったこともなかった。


確かに、憎い、こんな奴ら消えればいいのにって何度も考えたけど、そこまでには至らなかった。


わたしには、ずっとずっと心に秘めた思いがあるから。



「言えよ、どうしてほしい?お前の願いならいくらでも聞こう」



わたしはただ───誰かにそばにいてほしいだけ。


わたしは生きていていいんだと、証明してほしいだけ。