黒帝(こくてい)』7代目総長、潮崎理叶(しおざきりと)


それが俗に知られている彼の顔。


傘下を含めば1000人を超えると噂される、暴走族、いわゆる不良グループの頂点に立つ男。


そんな男に心配されているとはいえ、穴が開くほど見つめられていては恐怖感しか感じない。


自分から話をするほど彼に心を開いていないし、話をしたってどうにもならない。


本当の家族もいなくて居場所もない、なんて話してたって(むな)しくなるだけ。


わたしは目を合わせないよう、ぼんやりと床に視線を投げていた。


そのとき、店の固定電話が鳴り響いた。