「兄貴……!?」

「若、笑って……え?」



するとリビングに渡る、驚きを隠せないテノールボイスと、渋い男の声。


そっちを見ると、脚の短いテーブルを挟んで向こう側にいる、2人の対照的な若い男性が、びっくりした様子で座っていた。



ひとりは濃い色の茶髪に、くっきりとした二重が特徴的な柔らかい雰囲気の人。


なんとなく容姿が荒瀬さんに似ている。


もうひとりは、切れ長の一重に眉なし、これぞ極道って感じの人。


きっちり整えられた髪に、着こなしてる黒のスーツが彼を厳つく見せている。



ふたりは荒瀬さんが笑っていることに、とても驚いている様子。



「壱華、座れ」



驚きすぎて間抜け顔のお二人を観察中、荒瀬さんにくいっと腕を引っ張られた。


バランスを崩して黒革のソファーに腰を下ろす。


ふかふかのソファーは座り心地抜群であったかい。


その直後、腰のあたりに感じたぬくもり。


ごく自然に、荒瀬さんの腕がゆるりと腰に巻きついていた。




「お前に紹介する。颯馬(そうま)と、(つよし)だ」