それから1日寝て過ごして、日が高く昇った頃。



「着替えろ」



起きたばかりのわたしに荒瀬さんは紙袋をよこしてきた。


中をのぞくと、衣類が入ってる様子。



「お前のそんな格好を、あいつらに晒すわけにはいかねえからな」



あいつらって誰だろう。


どうやら今日はお客さんが来るらしい。


そんなことより。



「どうした?」



乙女が着替えるっていうのに、なんでこの人出て行かないの?



「……着替えたいんですけど」

「は?着替えりゃいいじゃねえか」



いや、あなたがいるから着替えられないんですけど。


なんて言ってやりたいけど怖いから言えない。


てか、着替えるよりシャワー浴びたい。



「……なんだ?」



そんなわたしの視線に気がついたのか、荒瀬さんは首をかしげた。


その何気ない動作が艶やかで、簡単に魅了されてしまったわたし。




「お風呂、借りてもいいですか?」



それを認めたくなくて、とっさに言葉を口にすると、荒瀬さんはいつになく妖艶に───笑った。