ゆっくりと震える体が持ち上がる。



「……軽いな、お前」



気がついたらわたしは荒瀬さんの懐に収まっていた。


触れられている部分から感じるぬくもり。


鼻を抜ける、ほのかな煙草のにおい。


目を開けると、かなりの至近距離に荒瀬さんの顔がある。


横抱きにされ、椅子に座った彼の膝の上にいるわたし。


驚いて目を伏せた。



「これからはちゃんと食って太れよ」

「……」

「これ以上痩せたら、俺が無理やり食わせるようにするからな」



この人、言ってることは乱暴だけど、お母さんみたい。


とても極道の人間の言葉には聞こえない。



「だいたいそんなんじゃ、俺も抱く気にならねえし」



あ、違った。


やっぱり変態発言をかましてきた。