それからは必死だった。


警察に捕まる前に壱華を救出しようと、全員で捜索に当たった。


実莉の言った通り、警察による暴走族のリーダー狩りが始まったが、自分の身を気にしている暇などない。



俺は裏切り者だ。


壱華を裏切り、深く傷つけた最低な男だ。


だからこそ壱華のために東奔西走した。


壱華の口から真実を聞きたかった。


許されないと知りつつも、あいつを守ってやりたかった。


何年かかってもいい。罪を償い、傍にいてやるつもりだった。



だが、その翌日。


俺の切望は、理叶の報告によって崩壊する。





『壱華が、闇の帝王の手に落ちた』




最も危険な人物が壱華を捕まえ連れ去った。


不可思議な鬼ごっこは、予想だにしなかった帝王の介入により終焉(しゅうえん)を迎えた。