「それで、どうするんや?」



それからシン、とした後望月が口を動かした。



「荒瀬からの直接的な処分はなしだ。
どうせその男、警察や極山の残党から命を狙われる羽目になるだろ」

「お察しの通りや。赤星はええ活躍してくれた分、恨みを買いまくってるからなぁ。これから大変やで」

「……よく喋るなてめぇは」

「どーも、褒め言葉として受け取っておきます。おおきに」

「……チッ」



ひょうきんな虎に大きな舌打ちをする狼。


すると、それが以前舌打ちしたわたしと重なったのだろうか。


あ、と口を開け、なるほどとわたしに向けてにやりと笑ってから、もう一度志勇を見た。




「それで、誓約の方は?」

「ああ、その条件を飲もう。ただし終わったらさっさと帰りやがれ」

「ええんか?有効期限は代償の命が尽きるまでなんやで?」

「んなもん分かってる。とっとの失せろ。俺は忙しいんだ」



無責任に口約束をした志勇は、性懲りもなくわたしの首筋をさすったり背中に指を走らせたり。



「あ……もう、いい加減にしなさいっ」

「って……」



思わずその手をつねったけど、集まった荒瀬の男たちは鼻を伸ばしてわたしを見ていて、側近のみなさんには苦笑いされる始末。


こんな大事な総会でいじめられるなんて。


本当、なんにも変わってないんだから!