それから2日後、事態は完全に終息した。



山城は望月に垂れ込まれ、刑務所(ムショ)に放り込まれるという哀れな最後に。


前科(マエ)持ちのあの男は、少なくとも5年はシャバには出られないだろう。


せいぜい檻の中で呑気にやってろ。お前が帰ってくる頃には極山会は消滅していることだろう。


こうして荒瀬は、巨大勢力同士の抗争を乗り越えた。






後に、ひとりの女をめぐって勃発したこの争いは『平成最大の抗争』と語られることになる。


死者、5名。負傷者、23名。逮捕者はこれまでで166名に上る。


これは現時点の荒瀬と極山、双方のデータだが、極山側はこれから更にパクられる奴が増えるだろう。



何にせよ、荒瀬側の死者が出なかったのは奇跡だ。


結果的に俺たちは西雲会に助けられたのだ。


にも関わらず、西雲の若頭が自ら荒瀬組に赴くという。


『非道の覇王』とまで呼ばれる男だ。


壱華を盾に何か条件を持ち出してくるに違いない。




不穏な影が脳内を支配する。


考えあぐねてそうするうち、壱華の帰還が翌日に控えられていた。