「ねえ、何?何が書いてあんだよ」



あからさまに機嫌が良くなった俺に目を輝かせ、内容をのぞき見ようとする颯馬。


俺は手紙をわざと隠した。




「剛に知らせるのが先だ。あいつ、壱華のことが心配すぎて、今度はストレスで腹に穴空けそうだからな」

「……ああ、そうだな。独り病院で色々と考え込んでるだろうし。
ならその後に見せてくれよ」

「あ?その次は親父とおふくろだ。それから司水たち側近、力たち厨房、あと本家の奴ら。
それから……あ、憂雅。お前は一番後回しだな」

「はあ!?俺、4歳児より下!?てか、データ化して一斉送信すればいいじゃん!」

「黙れ」



冗談をかますだけの余裕も生まれ、俺は足取り軽く金獅子の間に足を運んだ。


壱華を返すと文面で宣言されただけで、ここまで心が安らぐとは。


俺は心底、お前に惚れてるみてえだ。



「あーくそ、俺も末期だな」



押し殺していた感情が爆発しそうで、気が狂いそうなほど愛おしい。


こんなに俺を左右させるのは後にも先にもお前だけだ。


帰ってきたら、お前に俺の全ての想いを伝えよう。