翌日、予想通りそれは発生し、陰謀が明かされるときが来た。


静かな朝だった。






『速報です。今日未明、警視庁に務める警察官の男2名が、指定暴力団に情報を漏洩させた疑いで逮捕されました』





地方テレビ局ではなく、全国ネットのニュース番組に流れる速報。


女性のアナウンサーがシビアな表情で上がったばかりの原稿を読み上げている。





『警視庁は男を書類送検し、情報を受け取っていたと見られる指定暴力団・極山会若頭、山城総司を逮捕。
また、それらに関与したと思われる極山会系組員を逮捕しました』




「極山会若頭、山城総司」のテロップが目に焼き付く。


容疑者を拘束していると見られる留置所のVTRに、詳しく書き込まれたフリップの伝え方。


こんなにも早く取り上げられるなんて、もしかしたら望月はマスコミにも事件の全容を流出させていたのかもしれない。




『また、この事件には警視庁公安部も関わっていた可能性が高いとして、警視庁は慎重に捜査を続けています。
繰り返します……』










こうして、警察と暴力団が手を組んだ前代未聞の大事件は、望月幹奈が亡くなって以来、15年間もの間、辛酸をなめ続けてきた西雲会の摘発によって収束した。


このニュースはその後1ヶ月に及びピックアップされ、美花の男である警視庁の警官、及びその父親である警視監は、機密情報漏洩の罪で、懲役8年の刑罰を受けた。


美花と実莉は荒瀬組によって表社会から追放され、這い上がれない深い闇に沈んだ。


そして二度と、わたしの前に現れることはなかった。