「壱、華……?」
ぼやけた視界の中で、俺は寝言のように囁く。
だがどうせ今のは夢だから、俺は再び目をつぶろうとした。
だが、視界の隅にさらさらと揺れる黒い髪が確かに見え、俺は体を起こそうと試みた。
「起きなくていいよ」
そんな俺を、声で抑制させる壱華。
どちらにしろ腹の中を駆け抜けた激痛のせいで起き上がれなかったが、壱華の落ち着いた声が浸透していく。
「怪我してるんだから、安静にしてないと」
だが、鼓動は早鐘のようになり動悸が激しかった。
ゆっくり壱華の言葉を理解して、首の動く範囲で見回すと、自分の置かれた状況がありありと見えてくる。
体のあちこちにつなげられた管。4日間眠っていた身体は未だ痺れていてうまく動かせない。
「情けねえ……」
ひどい有様に、からからに乾いた喉で自嘲した。
昨日、目を覚ましたとき、赤星という男が全てを語ってきた。
自分は警察の裏切り者で、荒瀬志勇を撃った人間だと自己紹介を皮切りに、奴は全てを語った。
よどみなく語る様から全て真実だろうと思ったが、壱華を攫ったという点だけは信じられなかった。
だが今ここに壱華がいる。それは確かだった。
「俺は、お前を守れないどころか……こうして人質として荷物になるとは」
みっともねえと弱音が零れる。
「けど……お前に怪我がなくてよかった」
ただ、それは心からの言葉だった。
ぼやけた視界の中で、俺は寝言のように囁く。
だがどうせ今のは夢だから、俺は再び目をつぶろうとした。
だが、視界の隅にさらさらと揺れる黒い髪が確かに見え、俺は体を起こそうと試みた。
「起きなくていいよ」
そんな俺を、声で抑制させる壱華。
どちらにしろ腹の中を駆け抜けた激痛のせいで起き上がれなかったが、壱華の落ち着いた声が浸透していく。
「怪我してるんだから、安静にしてないと」
だが、鼓動は早鐘のようになり動悸が激しかった。
ゆっくり壱華の言葉を理解して、首の動く範囲で見回すと、自分の置かれた状況がありありと見えてくる。
体のあちこちにつなげられた管。4日間眠っていた身体は未だ痺れていてうまく動かせない。
「情けねえ……」
ひどい有様に、からからに乾いた喉で自嘲した。
昨日、目を覚ましたとき、赤星という男が全てを語ってきた。
自分は警察の裏切り者で、荒瀬志勇を撃った人間だと自己紹介を皮切りに、奴は全てを語った。
よどみなく語る様から全て真実だろうと思ったが、壱華を攫ったという点だけは信じられなかった。
だが今ここに壱華がいる。それは確かだった。
「俺は、お前を守れないどころか……こうして人質として荷物になるとは」
みっともねえと弱音が零れる。
「けど……お前に怪我がなくてよかった」
ただ、それは心からの言葉だった。



