SIDE 光冴



「その後の経過は?」

「ああ、その女の言った通り、警察がリーダー狩りを始めた。
こちらの情報では逮捕されたのは3人」

「3人?……その中に黒帝は?」

「安心しろ。捕まったのは傘下の『ファントム』だけ。その他の報告はない」

「そうか……」



がらんとした、バーの中。


オーナーと理叶の声が、遠く、遠く聞こえる。


あれから、一週間。


壱華は姿を見せなくなり、俺は罪人となった。




『光冴、今日はどうしたの?』



今俺が座っている場所は、いつも壱華と語らっていたカウンター席。


カウンターの向こうには壱華がいて、どんな話でも聞いてくれた。



『心配しないの。光冴は強いから大丈夫』



凛とした声で、光を放つ大きな瞳で、まっすぐ俺を見てくれた。


そんな壱華が、大好きだった。


それなのに俺は───




『ねぇ、光冴くん。お願い、助けて……』




壱華を信じることもできず、あの女の犬に成り下がった。