SIDE 壱華


ああ、まただ。また、この光景だ。



マンションの前の道路で、血まみれの男が2人、目の前に転がっていた。


そして10メートルほど距離を置いたところに、真っ白の髪をした、銃を持った男がゆらりと立っている。



『お前……何してんだ』

『総長、お久しぶりです。へへっ……』



後ろから追いかけてきた理叶がそいつに話しかけると、彼は人を撃ったのに笑っていた。


狂っていると思った。



『自分が何やったのか分かってんのか』



光冴も彼に厳しい顔をして問いかける。すると。



『何って……ゲームっすよ』

『ゲーム?』

『シューティングゲーム。ただし、本物の人を対象にしたゲーム』



彼は手にした狙撃銃を構え、銃口をわたしに向けた。



『例えば、こんな風に』

『……壱華!』



その瞬間わたしは理叶に突き飛ばされて、乾いた音が宙を舞った。


目を開けると、光冴と、理叶が重なり合うようにして倒れていた。



『いやあぁーー!』



血が、光冴の背中から、理叶の脇腹から広がっていく。



『ああ、ゲームオーバーだ。俺もさよならの時間だ』



すると今度は、男がスナイパーを地面に投げ捨て、胸元から小型の拳銃を取り出し、自分の頭にそれを突き立てる。




『最後に伝えておこう。シンデレラ、これは全部お前のせいだ』




やめて、と叫ぼうとした瞬間、男は引き金を引いた。


真っ白の頭は一瞬にして赤く染まっていった。男は倒れて二度と動かなかった。


まるで悪夢のような景色が赤く焼きついて離れてくれない。