最近、梟が持ってきた情報のうちにそれが上げられていた。


『警察と極山会がつながっている』と。


しかし証拠不十分で、まだ憶測の域であったため、確実な情報が入るまで、梟に情報を要求しなかった。


その甘さが(あだ)となったのか。



「ええ、そうです。
これは極山会と警察が提携して起こした暴動です」

「……あんな外道と提携だと?サツも落ちぶれたもんだな」

「上の決定したことですので仕方ありません。
しかし、ひとつ言わせていただきたい。私は、違う」



無表情な男は、最後の言葉にだけ、不思議と感情がこもっていた。






「私は極山を欺く者。そして警察側の人間でもない」





……ここまでの事件を引き起こした黒幕が、自分はどちらでもない存在だと?


ただ、嘘をついているわけではなかった。真剣な目がそう語っていた。




「なら、お前は何者だ」

「私は、犬です。仮面を被った飼い犬です」




ではお前は、誰が仕向けた犬なんだ。


……まさか、今まで動きを見せなかったあいつか。


と、ある男の顔が過ぎったが、余計なことは口走っている場合出ないと別の質問に切り替えた。



「俺は殺さないのか」

「あなたは殺しません。殺してはいけない。
あなたは相川壱華と一蓮托生(いちれんたくしょう)でいてもらわねばならない」

「っ、そう思うなら今すぐ壱華を返せ!」

「それはできません」

「返せ」

「……っ」



それでも、結局は壱華を解放しないと断言する男。


さっきから訳のわからぬことを抜かす男に、堪忍袋の尾が切れた。


凄むと奴は怯み、一歩身を後ろに引いたが───



「兄貴!」



颯馬が血相を変え走り寄ってきたことにより、緊迫した空気は解けた。