SIDE 壱華


とても幸せな夢を見ていた気がする。


まどろみの中で目が覚めた。


目を開けると、そこには志勇が優しい顔をして覗き込んでいた。



「悪い、起こしたな」

「んー?起きようと思ってたから大丈夫だよ。
あれ、もう朝……?」



目をこすりながら返答すると、志勇は「そうだ」と笑った。


ということは——夜を徹してイケナイことをしていたということ?


一気に昨夜のことを思い出して、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。


そういえば志勇は何も着ていないのに隠そうとしないし、当然わたしも裸だ。



「志勇っ!何か羽織ってよ!」

「今さら過ぎるだろ。何ならもっと早くツッコめよ」

「そういう問題じゃないでしょ!いいから早く……んっ」



なんてハレンチなんだと飛び上がろうとしたけど、全身が悲鳴を上げたため、それ以上動けなくなった。


さっきから下腹部辺りがズキズキ痛むと思ったけど、それどころじゃない。


お腹と腰、それから内股の辺りが重だるく感じる。


ヤバい、重度の筋肉痛だ。



「どうした」

「全身痛い。う〜……」

「お前な……」



起きたかと思えば怒り出して、怒ってると思えば急に元気をなくす浮き沈みの激しい少女───もといわたし。


なんとも間抜けなその姿でも、志勇は愛おしそうに笑ってくれた。