それにしても志勇はわたしをそっちのけで何を話してるんだか。


あんなに嬉しそうに司水さんと語り合って、なんだか彼に妬いてしまう。


だからちょっといじけたつもりで志勇に背を向けて門をくぐった。


外を出て右には、夕陽の影響で赤く見える白壁に横付けされたクラウンが1台。


あ、そうか。お見送りの人が正門に並んでると思ったら、やっぱり今日は駐車場に停めてなかったんだ。


志勇、急ぎの用事でもあったのかな——と、この期に及んで疎いわたしはその程度にしか考えることができなかった。




このとき、塀に囲まれた駐車場ではなく、門の外に車を停めてしまったのも、何かの因縁だったのかもしれない。