一生懸命のわたしの言葉を、あなたは笑うだろうか。


それでもいい。


たとえ笑われたって、馬鹿にされたって、わたしからあなたを嫌いになることはできない。


それだけあなたという存在に溺れているのだから。





少しの間、驚いたように固まっていた志勇。


ところが次の瞬間彼の体はこちらに傾き、わたしの唇を奪うべく顔を寄せられた。


キスされると思って目をつぶったら唇に触れる熱い感覚。


重ねるだけの短い口づけが終わると、志勇はなぜか赤い舌をちろっと出して舌なめずりをした。






「……味噌汁の味がする」

「へ?」





味噌汁?


この流れからして、どんなロマンティックな言葉をかけてくるのかと思えば、その感想を今述べる必要がある?



「……志勇のいじわる!」

「あ?からかったわけじゃねえ。今はしたいからしただけだ。
俺は本能に忠実な男だからな」

「そんなの知らないし!」



志勇はしてやったりと屈託なく笑う。


負けたことを認めたくなくて、そっぽを向こうとしたそのとき。



「伝わらねえなら、お前には言葉も必要か」



穏やかな笑顔から一転、わたしを見つめる志勇の綺麗な表情に息を飲んだ。