「……今、おひとりなんですか?」
「はい?」
問いを投げ、力さんの鼻の辺りを見る。
人の目を見るのは怖いから。
まばたきするとあの悪夢の残像がよぎって、恐怖で目の前がくらむ。
「この間、来たときから……厨房の方が力さんしか見当たらない気がして。
おひとりで厨房をされているのかなと」
けれど平然を装っていられるのは、憂雅くんの小さな手を握っているからなんだろう。
人のぬくもりというものは、本当にわたしを落ち着かせてくれる。
「ああ、ここは普段3人で回してるんですけど、親父が腰を痛めて今は2人です」
「2人?こんな大所帯を、たった2人で回してるんですか?」
それにしても、いいこと聞いたな。厨房がかなりの人手不足なんて。
これはチャンスだ。
前々から思っていた『人の役に立ちたい』という願望。
その願いを厨房のお手伝いというわたしの得意分野で活かせるなら、これほど嬉しいことはない。
「いやぁ、大所帯だなんて、常在してるのは20人くらいですよ。大したことねえですって」
するとさっきまでの仏頂面はどこに行ったのか、突然笑顔になる力さん。
ほめられたことがそんなに嬉しかったの?
なんか、外見と裏腹に、笑顔は幼くて素直な人だ。
「他に給仕の人は?」
「いません。いたとしても信用のできない人間には、こんな大事な仕事任せられない。
万が一食事に毒が混ぜられたらどうするんです?
俺はたかが厨房といえども、誇りのある仕事だと思ってます」
「そうですよね……」
「で、なんでそんな話を?」
「あ……今わたし、仕事を探してて、よろしかったらここでお手伝いできないかなと」
「はあ?手伝い?若に養ってもらってるんだからいいじゃねえんですか」
「それが嫌なんです。何もできない干物女なんて、全く魅力がないじゃないですか」
そう言い切るとを驚いてわたしを凝視する彼。
「……へえ、変わった女もいるんだな」
感心したような呟きは───
「いやぁー!」
そばにいたはずの憂雅くんの甲高い悲鳴により掻き消された。
「はい?」
問いを投げ、力さんの鼻の辺りを見る。
人の目を見るのは怖いから。
まばたきするとあの悪夢の残像がよぎって、恐怖で目の前がくらむ。
「この間、来たときから……厨房の方が力さんしか見当たらない気がして。
おひとりで厨房をされているのかなと」
けれど平然を装っていられるのは、憂雅くんの小さな手を握っているからなんだろう。
人のぬくもりというものは、本当にわたしを落ち着かせてくれる。
「ああ、ここは普段3人で回してるんですけど、親父が腰を痛めて今は2人です」
「2人?こんな大所帯を、たった2人で回してるんですか?」
それにしても、いいこと聞いたな。厨房がかなりの人手不足なんて。
これはチャンスだ。
前々から思っていた『人の役に立ちたい』という願望。
その願いを厨房のお手伝いというわたしの得意分野で活かせるなら、これほど嬉しいことはない。
「いやぁ、大所帯だなんて、常在してるのは20人くらいですよ。大したことねえですって」
するとさっきまでの仏頂面はどこに行ったのか、突然笑顔になる力さん。
ほめられたことがそんなに嬉しかったの?
なんか、外見と裏腹に、笑顔は幼くて素直な人だ。
「他に給仕の人は?」
「いません。いたとしても信用のできない人間には、こんな大事な仕事任せられない。
万が一食事に毒が混ぜられたらどうするんです?
俺はたかが厨房といえども、誇りのある仕事だと思ってます」
「そうですよね……」
「で、なんでそんな話を?」
「あ……今わたし、仕事を探してて、よろしかったらここでお手伝いできないかなと」
「はあ?手伝い?若に養ってもらってるんだからいいじゃねえんですか」
「それが嫌なんです。何もできない干物女なんて、全く魅力がないじゃないですか」
そう言い切るとを驚いてわたしを凝視する彼。
「……へえ、変わった女もいるんだな」
感心したような呟きは───
「いやぁー!」
そばにいたはずの憂雅くんの甲高い悲鳴により掻き消された。



