その声の主は、暴行する光冴の後ろから現れた。


鮮やかな金髪は、間違いなく、理叶だった。



「理叶、ねえ、どういうこと?」



呼吸を落ち着かせ、彼の名を呼び、震える声で尋ねると、重たく響く声が鼓膜を刺激する。




「……お前には失望した」

「……え」

「お前がそんな女だと思わなかった。信じた俺が馬鹿だった」



理叶は、まるで汚いものを見るような目でわたしを蔑さげすんでいた。


その目は、わたしを深い深い闇の底に叩き落とした。


……辛いときは頼ってくれって、言ったのに。


あれも全部、嘘だったんだ。


理叶も光冴も、実莉を信じたんだ。



「何も言わないってことは……そうなんだな壱華。
本当なら仕方ない。俺はもうお前の味方にはなれない」




そしてその日を境に、これまでの人生で最も(むご)い、地獄の日々が始まった。