SIDE 志勇
消してやる。
こいつらが、壱華に癒えない傷を植えつけた義理の姉妹か。
長い間、壱華がこんなクズに支配されていたと思うと、腸が煮えくり返りそうだ。
こいつらをこの世から抹殺すれば、壱華はこの姉妹から解放される。
壱華を支配していいのは俺だけだ。
壱華の身体も、その声も、感情もすべて、俺のもの。
壱華の心身を完全に手の入れるためには、まずは妹から始末してやる。
「若、いけません!」
ところが、手にかかる寸前で視界を遮ったのは、剛。
「……どけ」
「っ!……ち、違うっす。向こうに……」
声色に怒りを孕ませはね退けようとするが、剛は震え上がりながらも退く姿勢を見せない。
仕方なく視線を外した先で、目を疑った。
「美花?ここにいたのか」
姉妹の前に現れ出たひとりの男。
俺が注目したのはそこではない。
その後ろに付く、恰幅のいい背広の男。そいつに見覚えがあった。
マル暴だ。
ヤクザを監視するサツが、マル暴がついてやがる。
なるほどそういうことか。
こいつら姉妹は警察の手の中にある。
道理で組の連中を相手に、強気で見下した態度が取れるわけだ。
「あ……啓くん、佐々木さん……」
「探したぞ美花、会計済ませたら急にいなくなるから。……ん?どうした」
とすればこのケイとかいう男が、例のボンクラか。
警視監のひとり息子、女に巧く利用されていることにも勘づいていない、とんだバカ。
「なんでもないの。ほら実莉、立って。帰ろっか」
この状況を見ても女どもの危機を察せないようなアホだが、奴らの身分上、手が出せねえ。
ここで暴力沙汰でも引き起こせば、手錠にかけられ終いだ。
暴力団であれば、なおさら罪も重くなる。
まったく、ヤクザも生きにくい世になったもんだ。
消してやる。
こいつらが、壱華に癒えない傷を植えつけた義理の姉妹か。
長い間、壱華がこんなクズに支配されていたと思うと、腸が煮えくり返りそうだ。
こいつらをこの世から抹殺すれば、壱華はこの姉妹から解放される。
壱華を支配していいのは俺だけだ。
壱華の身体も、その声も、感情もすべて、俺のもの。
壱華の心身を完全に手の入れるためには、まずは妹から始末してやる。
「若、いけません!」
ところが、手にかかる寸前で視界を遮ったのは、剛。
「……どけ」
「っ!……ち、違うっす。向こうに……」
声色に怒りを孕ませはね退けようとするが、剛は震え上がりながらも退く姿勢を見せない。
仕方なく視線を外した先で、目を疑った。
「美花?ここにいたのか」
姉妹の前に現れ出たひとりの男。
俺が注目したのはそこではない。
その後ろに付く、恰幅のいい背広の男。そいつに見覚えがあった。
マル暴だ。
ヤクザを監視するサツが、マル暴がついてやがる。
なるほどそういうことか。
こいつら姉妹は警察の手の中にある。
道理で組の連中を相手に、強気で見下した態度が取れるわけだ。
「あ……啓くん、佐々木さん……」
「探したぞ美花、会計済ませたら急にいなくなるから。……ん?どうした」
とすればこのケイとかいう男が、例のボンクラか。
警視監のひとり息子、女に巧く利用されていることにも勘づいていない、とんだバカ。
「なんでもないの。ほら実莉、立って。帰ろっか」
この状況を見ても女どもの危機を察せないようなアホだが、奴らの身分上、手が出せねえ。
ここで暴力沙汰でも引き起こせば、手錠にかけられ終いだ。
暴力団であれば、なおさら罪も重くなる。
まったく、ヤクザも生きにくい世になったもんだ。



