……言ってしまった。


顔がぼっと熱くなるのを感じる。



「は?」

「だから……経験、ないです……」



だいぶ間を置いて反応した志勇に、蚊の鳴くような声で一生懸命説明した。



「お前、処女か」



そしたら単語をオブラートに包むことなく発言されたもんだから目を背ける。



「処女なんだな」



確認する語調の志勇がどんな顔をしているのかチラ見すると───笑ってやがる。


ニヤニヤ、さも嬉しそうに寝転んだわたしを観察中。



「へえ……処女か」

「もう、何回も言わないで!」



なんだか小馬鹿にされてる気がして、起き上がり志勇を軽く叩いてやろうとした。


ところがわたしの力とスピードでは通じるはずもなく。


パシッ、いとも簡単に手を止められてしまった。


慌てて身を引こうとしたけど、志勇の握力と腕力が予想以上で動けない。


そのとき、志勇の唇が動いた。




「そうか、だったら……俺以外の男は一生知らなくていいってわけだ」

「ッ……!」



今日一番の笑顔を見せた志勇。


なんてことを言ってのける男だろう。


わたしが志勇に抱かれるなんて決まったわけじゃないのに。


それなのにキラースマイルを前に全否定できなくて、唇を結んで、きっと真っ赤であろう顔で視線を泳がした。