「どしたの?」


湊からしたら当たり前の疑問だが、あたしからしたら返答に困る。


「え、っと・・・」

「まぁいいや、とりあえず家入ろう」


優しく肩を抱き、湊は促すように歩き出す。


「どうぞ」

湊は、コーヒーを入れてくれた。


「ごめんなさい。突然来て」

「驚いただけで、全然迷惑じゃない。むしろ、部屋に結可がいるのが新鮮で嬉しい」


優しく微笑みかける湊に、トクンッと胸が鳴る。


「何かあった?」


まだ、何もない。

何もないけど、この当たり前が壊れそうで怖い。

明日が来るなんて、極当たり前なこと。

だけどお母さんには、後何回明日が来るのだろう?

その数を知るのも、確かめるのも怖い。