結局、あたしは理緒に何もしてあげられなかった。

このまま、もし理緒が看護師を辞めてしまったら、どうしよう。

理緒のことだから、大丈夫だと思うけど・・・

でも、人なんてわからない。

うまく人付き合いしていたあたしでさえ、現に看護師から退いたわけだし。


「・・・い」


はぁ~と、盛大なため息を漏らす。


「おい!」


__グイッ__


誰かに、腕を掴まれる。

え?


「ちゃんと前見ないと、危ないよ?」

「き、桐島先生?!アッ」


バランスを崩しそうになったあたしのことを、桐原先生が支える。


「す、すいません」

「いや、良いけど。ここ階段だから」


桐原先生の言葉に足元を見ると、そこに階段があった。