「あれ、煌樹くんから聞いてないの?」

「煌樹からですか?」

「その様子じゃ、知らないんだ。俺の前職、放射線技師」


え?

あたしは、店長の顔をマジマジと見る。


「もっと言うと、結可ちゃんと同じ大学病院で働いてたんだよね。3年も前の話だけど」

「全然、知らなかったです」

「結可ちゃん、毎日忙しそうに走り回ってたからね」


店長は、懐かしそうにフッと笑みを見せる。


「そうなら、もっと早く教えてくださいよ」

「前の職場が色々あったみたいだから、言わない方がいいかなって」

「もしかして、どうして辞めたかも知ってたんですか?」

「昔の同僚から、チラッと聞いた。ごめんね」


顔の前で手を合わせる店長に、「いえ」と首を横に振る。