「大丈夫ですか?」


やってきた救命士が、こちらに声を掛ける。


「とても、危険な状態です。一刻も早く、治療が必要です」

「医者ですか?」

「医者と看護師です」


救命士の言葉に、笑里が答える。

そして運転手と共に、あたし達も救急車に同乗する。

笑里の指示の元、揺れる車内で治療を行う。


「病院に着きました」


救命士の言葉に、安堵する。

ドアが開けられ、ストレッチャーが降ろされる。


「状態は?」


外の方から聞こえた言葉に、あたしは状態を伝える。

でも、その自分の行動に、一瞬で後悔する。

なんで、よりにもよって・・・

遠くなるストレッチャーのタイヤの音に、盛大なため息が漏れた。