涙を溢し、それぞれがそれぞれの思いに打ちひしがれる。

そんな光景を、あたしは他人事のように見届けていた。

そして通夜には、火葬にこれなかった歩稀も参加し、来てくれた人たちにペコペコ頭を下げ、過ぎ去る時間に身を任せた。


「終わってみると、あっという間だったな」


人通り終わり、実家のリビングで息をつく。


「てか、これから親父と2人で大丈夫なのか?」


明都が、煌樹に尋ねる。

多忙な医者という職を持ち、ロクに家事もできない男の2人暮らし。

明都の言うように、正直あたしも不安だ。


「なるようになるだろ。母さんがいなかった間も、何とかやってきたし」


でも、あの時と今じゃ、状況が違う。