「人の死に慣れてるって言ったらおかしいけど、どこか麻痺してた。悲しいって気持ちより、いつの間にか悔しい気持ちの方が大きくなってた」


笑里の言葉は、わかりたくないほどわかる。

助けたい、助けるって気持ちが大きくなるにつれて、悔しさの方が大きくなっていた。


「悲しんでたら、前には進めない。だから進むためには、切り替えも大事だと思うよ」

「でもきっと、患者や患者の家族は寄り添ってくれる医者の方が嬉しいよね」

「それは・・・」


そうだけど・・・・


「寄り添いながらも、ちゃんと気持ちを切り替えられるような医者にならなきゃね」

「笑里なら、大丈夫だよ」

「アンタも大丈夫よ。あたしら兄弟の中で1番お母さんに似てて、要領がいいんだから」


ポンッと、笑里に肩を叩かれる。