「ありがとうございました」


病院のスタッフたちに礼を言い、あたしと笑里も病院を後にする。


「ねぇ、何でいるの?」


一度病院で別れたはずの笑里が、なぜか今はあたしの部屋にいる。

しかも自分の部屋かのように、とても寛いでいる。


「だって、1人は寂しいじゃん。それに、こんな日くらいは誰かと一緒にいたい」


柄にもなくクッションを抱き締める笑里に、もう何も言わなかった。


「ねぇ、結可。人って、脆いよね。元気で長生きすると思ってたお母さんが、こんな簡単に死んじゃうんだもん」

「そうだね」

「助けられなかった命は今までにもあったけど、こんなに悲しいなんてね」


笑里は、涙を溢す。