《小澤》

一言に護衛と言っても色々あるらしい。
新人の俺たちは、そこまで危険な任務に就くことはないと聞いてはいるけど、柿原隊長と組まされた時点でどんな任務だろうとそこは危険地帯だ。

「今日の任務は男性1名の護衛だ。
本日の10時から開催の講演会に爆破予告がなされた。
標的にされたのは会社経営者の男性。
爆破予告をしてきたのは、おそらく職場の体制に不満がある者の仕業だろうとの見方が強い。なお、講演の中止は考えてないそうだ。
我々は自宅から会場と会場から自宅への移動中の護衛、講演中の護衛、会場の不審者の探索、以上をチームに分かれて遂行する」
「はい!」
柿原隊長の指示に俺たち下っ端は勢いよく返事をする。初任務。護衛のシミュレーションは幾度となく訓練で行ってきたけど、実際に何者かから狙われている人物を護衛するというのは、なかなかの緊張感。
俺にできるのかな。

手の震えが止まらない中、柿原隊長の後ろにくっついて歩く。
「俺らは会場のチェックだ」
「え?移動中に対象についておくんじゃないんですか?」
「お前ごときが護衛につけるか。何度俺に殺されてる?
護衛は上級ペアに任せて、お前は会場に不審物がないか見回りだ」
「…わかりました」
なんだよ。せっかく気合入れてきたっていうのに。ただの警備員的な役回りじゃないか。