《小澤》

あー、疲れた。
今日は一段と疲れた。
あんな狂った男の相手をするなんて大変だ。
痩せそう。
いや、すでにげっそりしてきてんじゃないか?

「まじでどうかしてるんだって。朝からずっとそんな調子で、もう人を寄せ付けない雰囲気でさ。不機嫌なんてもんじゃねーの。さっきだって、俺が止めに入ってなかったらあの不倫相手の男どうなってたか」
「よく止めに入ったよな。
柿原隊長と組むようになって、度胸がついたんじゃないのか?」
ようやく部屋について一息つく。
そんな前向きなことが言える天海がただただ羨ましい。
「…正直、俺がわーわー騒いでたら柿原隊長が正気を取り戻したってだけなんだけどさ」
「そういうことか。
柿原隊長の奥さん、八城さんだっけ?
今朝から家を出てるらしいから、それでしゃないか?」
「家出!?八城さん、家でしたってこと!?」
「さあ、詳しいことはわからないけど」
まじか、家出か。
そりゃ、あんな旦那だもん。実家に帰らせていただきたくもなるよな。ずっと柿原隊長の傍にいるなんて、どれだけ時間があっても精神回復しないもん。俺だったらとっくに離婚してる。