「うわぁ、小澤、災難だな」
「柿原隊長と任務か。これから頑張れよ」
絶望の中、同期の哀れみの目が身に染みる。同情するなら代わってくれ。
いいよな、少し上の先輩とペアになれた奴らは。
俺、今日からどうやって生きて行けばいいってんだよ。

柿原隊長と言えば、ここにいる全員が知っている。
その名前を聞いただけで震え上がる。
入社してからの訓練期間中に相当しごかれたからだ。

3か月の厳しい訓練に耐え切れず、何人もの新人が辞めていった。俺がここに残れているのが不思議なくらい非人道的な扱いを受けてきた。
おそらく耐えられたのは、訓練期間が終われば、柿原隊長とはもう離れられると思ってたからだ。

なのに…、まさかペアになるなんて。俺は前世でとんでもない悪行をしでかしたんでしょうか。
神様、あまりにもひどい仕打ちじゃありませんか。

「小澤!」
「は、はい!」
後ろから勢いよく飛んできた声に、一瞬にして背筋が伸びる。
訓練生時代に培われた反射的な態度。